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今田束『實用解剖學』卷二 明治33年十一版

今田束(1850-1889)+小金井良精(1858-1944)『實用解剖學』卷二 明治三十三年九月十五日十一版 萬谷堂刊
今田束『實用解剖學』卷二 明治33年十一版(前半)
あれこれやっているうちに時間が押せ押せになってしまって、ここのところ更新が滞り気味に。
さて、前々回に取り上げた明治中期の解剖学書の続き。この巻では内臓を扱っているが、軟骨、また耳小骨のような器官の一部をなすような骨もここで解説している。
序文を読むと、内臓学の広さと深さは前巻で扱っている骨学、靭帯、筋学の比ではなく、それを解剖学の初心者にも医療関係者にもよく解り実地の役にも立つよう説明するために、脳味噌を絞りに絞り数箇月に亙って神経を磨り減らしてようやく纏めた、とユーモアも交えながらその苦労のほどを述懐している。
また、各内臓の体内における位置を理解しやすくするための巻末の彩色図は元々はなく、著者今田の歿後に校閲者小金井が前巻末の附録図に倣って新たに加えたものだということも知れる。よって、この巻は小金井による増補版と云った方がよいだろうと思う。
今田束『實用解剖學』卷二 明治33年十一版(後半)
模式図や概略図は軽妙な線で描かれる一方、詳細図は精確緻密に描写されている。外耳を裏側から、また肝臓を下から見た図など、実際に解剖しなければおよそ描けないと思われる珍しい図版もある。
巻末の胸部X線撮像はなかなか美しい。附録図のうちの立派なヒゲの紳士の解剖図は、何だかシュルレアリスティックな味わいがまた魅力的。


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