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田中芳男+小野職愨+服部雪齋『有用植物圖説』卷一 明治40年四版(その1)

田中芳男(1838-1916)+小野職愨(1838-1890)+服部雪齋(1807-1880年代後半頃?)+中島仰山(1832-1914)『有用植物圖説』卷一 明治四十年一月十日四版 大日本農會刊
田中芳男+小野職愨+服部雪齋『有用植物圖説』卷一 明治40年四版(その1 前半)
あれこれ頼まれ仕事が続いたりしていて、だいぶ間が空いた。そのついでに、というわけでもないのだがつい先日偶々目にした、普段は決して手にしないメディアで紹介されていた、コレクション展示に特化したSNS「Muuseo(ミューゼオ)」のサーヴィスを利用して当研Q所「附属展示館」を立ち上げることにしたため、その最初に載せようと思うこの図鑑を、既に写真を撮ってある何冊かを後回しにして急遽取り上げることにした。資料横断的に図版そのものをご覧に入れるブログか何かを別途やりたいなぁ、という考えが予々あったので、恰度よい機会ということで。

さて本書は、食用、薬用、産業用など、人間の生活に何らかのカタチで役に立つ植物(+留意すべき毒のあるものも含む)をあつめた、明治初期に企画され中期になってやっと上梓成ったという木版多色刷りの美麗な植物図鑑。「圖畫」卷のみ奥付に版数が示されていないが、標題の書誌データは「解説」「目録」両篇の奥付に従った。
分類法は江戸期以来の本草学的な分け方を踏襲しているが、ちゃんと学名も併記してあるなど博物学的な要素も盛り込まれている。精緻な筆遣いで丁寧に作画された図版を、これまた細かい仕事の木版により美しく再現していて、眺めていて厭きない本。
序文を読むと、明治三年辺りからともに博物局(後に博物館)で博物教育用の書物や掛図などを作ってきた同い年の博物学者田中芳男と植物学者小野職愨《もとよし》とが立ち上げた出版企画の、その全体像がはっきりしてきたのが同八年、その当時既に齢七十を目前にした絵師服部雪齋は健筆を振るって予定の図版をすべて描き上げたもののその細かさ故に彫刻の方が遅々として捗らず、また度重なる組織変更の度に作業がストップ、また校正者も次々病に斃れ、また後に見つかった図版の誤りを修正せざるを得なくなる(服部はそのとき既にこの世になかったらしく、中島仰山が手がけている)など数々の障碍を乗り越えて、十五年後の明治二十三年にようやくすべての版が完成したことがわかる。千点あまりもの色版を手彫りする、というだけで気が遠くなりそうな作業。よくぞ完成に至った、と感服を禁じ得ないし、選者田中が欣快をもって自序を締め括っている気持ちもよく伝わってくる。
あれこれ頼まれ仕事が続いたりしていて、だいぶ間が空いた。そのついでに、というわけでもないのだが、偶々普段は決して手にしないメディアで紹介されていた、コレクション展示に特化したSNS「Muuseo(ミューゼオ)」のサーヴィスを利用して当研Q所「附属展示館」を立ち上げることにしたため、その最初に載せようと思うこの図鑑を、既に写真を撮ってある何冊かを後回しにして急遽取り上げることにした。資料横断的に図版そのものをご覧に入れるブログか何かを別途やりたいなぁ、という考えが予々あったので、恰度よい機会ということで。

さて本書は、食用、薬用、産業用など、人間の生活に何らかのカタチで役に立つ植物(+留意すべき毒のあるものも含む)をあつめた、明治初期に企画され中期になってやっと上梓成ったという木版多色刷りの美麗な植物図鑑。「圖畫」卷のみ奥付に版数が示されておらず、果たしてこれが初版なのか後刷りなのかは判らないが、標題の書誌データは「解説」「目録」両篇の奥付に従った。
分類法は江戸期以来の本草学的な分け方を踏襲しているが、ちゃんと学名も併記してあるなど博物学的な要素も盛り込まれている。精緻な筆遣いで丁寧に作画された図版を、これまた細かい仕事の木版により美しく再現していて、眺めていて厭きない本。
序文を読むと、明治三年辺りからともに博物局(後に博物館)で博物教育用の書物や掛図などを作ってきた田中芳男と小野職愨《もとよし》とが立ち上げた出版企画の全体像がはっきりしてきたのが同八年、その当時既に齢七十を目前にした絵師服部雪齋は健筆を振るって予定の図版をすべて描き上げたもののその細かさ故に彫刻の方が遅々として捗らず、また度重なる組織変更の度に作業がストップ、また校正者も次々病に斃れ、また後に見つかった誤りを修正せざるを得なくなるなど数々の障碍を乗り越えて、十五年後の明治二十三年にようやくすべての版が完成したことがわかる。千点あまりもの色版を手彫りする、というだけで気が遠くなりそうな作業。よくぞ完成に至った、と感服を禁じ得ないし、選者田中が欣快をもって自序を締め括っている気持ちもよく伝わってくる。
田中芳男+小野職愨『有用植物圖説』卷一 明治40年四版(その1 後半)
さてこれも序文に書いてあるように、本書は「圖畫(図画)」篇「解説」篇ともに三冊づつ、それに「目録」篇一冊を加えた計七冊の和装本。よってこれまでの記事のように各冊ごとに取り上げると図版とその解説とがバラバラになってしまって解りづらいし、目次だけの別冊を扱いにくくもなるため、例示した図版見開きページに沿って解説や目録も載せることにした(今まで目次をすべては敢えて載せない方針にしていたのは、本書のような物凄い量の項目数がある書物があるからなのだった)。それでも、掲載項目ごとの紙幅が異なるため、やはりどうしても少々順番が前後してしまう箇所はあるが、ご容赦いただきたいところ。
今回分では卷一の前半部、穀類+豆類、葉菜類、根菜類、花野菜類、瓜類、茸類からいくつか紹介する。色味や質感の表現、名称や栽培品種の現在使われているものとの違いなどよくご覧いただければ、と思う。

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