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國際自動車協會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許 自動車學習模型 英和解説書』昭和11年(初版)

國際自動車協會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許-自動車學習模型-英和解説書』昭和十一年六月二十日(初版) 國際自動車協會出版部 刊

國際自動車協會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許-自動車學習模型-英和解説書』昭和11年(初版)(前半)
かな〜り間が空いてしまったが、思い立ったが吉日でしれっと再開。

昭和初期の紙製自動車構造模型と、その解説書。
模型は厚紙に両面多色刷りを施した後、切り張りして拵えてある。形の複雑さと細かさ、そして部品の数からしても恐らく手作業により組み立てられたのではないかと思う。細い部分に折り癖がついていて、引っかけて破いてしまわないか冷や冷やする。今日ならば定めし透明のプラスティックシートに印刷するだろう。
台紙にある各パーツの名称など、すべて英語で書かれている。「國際自動車協會」は昭和初期に自動車教習教材などを数多く出していたところのようだが、今のところ詳しいことはわからない。裏面の標題脇にドイツ・アメリカでの専売特許と、それから国内での特許出願済みであることが併記されていることからして、麹町區下二番町にあったという同協会出版部というのは、海外に本部を持つ団体の日本支部のような位置づけだったのかもしれない。表表紙中央にあしらわれているマークをよく見ると「KJK」という頭文字が組み合わせてあって、同協会の英語名「The International Automobile Inttitute」の頭文字ではなく日本語名のそれであることがわかる。
英文のタイトル「Automobile Manikin of a Six Cylinder Car」で試しにググってみると、"Catalogue of Copyright Entries: Library of Congress" (Jon Orwant, 1911) という本の中に同名のものが出てくる。
books.google.co.jp/books?id=d4TNXDqZIMUC&pg=PA1500
p. 1500左側の中ほど、シカゴの 'Goodheart-Wilcox co., inc.' という版元から1923年9月に刊行されているようだ。同名の出版社のサイトで会社案内
www.g-w.com/aboutus/
を覧てみると、1921年に "Dyke's Automobile and Gasoline Engine Encyclopedia" という本を出すべく立ち上げた、とあり、現在も科学技術系の教育書などをメインに据えておられるところからしても、自動車模型は同社の創業期の出版物だったことが知れる。
しかし、「國際自動車協會」版には「Manufatucured by 〜」として同団体が制作したことになっている上、 Goodheart-Willcox の名はどこにも出てこないので、果たして同じものなのかどうかははっきりしない。あるいは、パーツを同社から買い上げて、組み立ては自らのところでやる、というような特約でも結んでいたのだろうか。
いずれにせよ、表紙はともかく、中身の模型本体は輸入品の可能性がある、と考えられるだろう。

國際自動車協會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許-自動車學習模型-英和解説書』昭和11年(初版)(後半)
さて、この模型には解説の小冊子が附いている……とはいっても、図版研では別々に入手しているため、無刊記の模型の方も解説書と同じ時期に出されたのかどうかはわからない。単に、見較べてみるとセットであっても矛盾はなさそう、というばかりだ。
巻頭には当時の自動車運転免許に関する法規が折り込みで入っている。続く序文を読むと、この模型がアメリカのカンザス州にある世界的に名の知れた教習学校でも使われている、とある(この学校については資料が見付からず、委細不明)。「國際自動車協會」のメンバーがそこでこの模型を目にして気に入り、専売契約を版元と結んだ、という可能性はあろう。
解説書の図版ではなくこうした模型を使うことの効用について説いた後、各部の名称と詳しい解説とが続くのだが、驚くべきはパーツ名が全部日本語(しかも全部が漢字)に訳されている、ということだ。字面で意味が取りやすい、といえなくもないが、これを全部憶えるのはかなりの苦行……と思ったら、巻末の試験過去問集では片仮名書きの用語が結構出てくる。そりゃそうか。ちょっと安心。

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