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國防科學知識普及會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許 自動車學習模型 英和解説書』昭和16年(初版)

國防科學知識普及會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許 自動車學習模型 英和解説書』昭和十六年九月二十日(初版) 國防科學知識普及會 刊
國防科學知識普及會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許 自動車學習模型 英和解説書』昭和16年(初版)(前半)
前回取り上げたペーパークラフト自動車模型の大東亜戦下ヴァージョン。組織として時局下で生き延びるための方策か、版元名が随分と武張った名前に変わっている。所在地も「下二番町」から「二番町」へになっているが、これは昭和十三年八月一日の区画整理で超域が拡がった際に町名も変わったためで、場所としては以前と同じ。
旧版と同じく、これも本体と附属の解説書とは別々に収蔵したのだが、販売期間は恐らく三年となかったろうから、版が違うということは流石にないものと思われる。
統制下だけあって、模型の台紙は縦がほぼ半分になり、英文名称は省かれている。しかし模型部分は細かく見ていくと旧版と異なるところがあり、ちゃんと考えて作られていることがわかる。ただし糊付けがちょっと雑な感じで、要らぬところもくっついて破れてしまっていたりするのが残念……。

國防科學知識普及會『自動車學習模型』(無刊記)+山口茂『專賣特許 自動車學習模型 英和解説書』昭和16年(初版)(後半)
附属解説書も判型は小さくなっているが、巻頭の「自動車運轉免許規則」は従前と変わりなく、小さく折り込まれている。裏側の下段は出願様式が減って空いたスペースに「講義録と模型の勉強法」という新たな一文が追加されているのが目を惹く。
旧版で巻末にあった過去問はなくなり、代わりにメインコンテンツである「英和解説書」をぎゅう詰めにせずに組版してあるため、そのページ数がだいぶ増えている。日本語の用語は「標準用語」とされ、漢字だらけだった國際自動車協會版と違ってカタカナも混じった実用的な語に置き換えられているものが多いようだ。例えばシリンダーを意味する「氣筩」も、同じ音で一般に馴染みのある字面の「氣筒」に替えられているし、フライホイールを意味する「整速輪」や「喞子(活塞)」「聯軸機」などもそれぞれ「ハズミ車」「ピストン」「クラッチ」になっているなど、受験者がたやすく憶えられるよう現実的な方向へと変わったものと思われる。
巻末の出版物広告も輸入車の運転法書が一掃されて国産車のそれが取って代わり、木炭自動車の本なども出現しているものの、『自動車教科書』の売り文句は以前とちっとも違わない。
なお国会図書館デジタルコレクションで「国際自動車協会」を検索してみると、少なくとも昭和二十四年から二十九年まで自動車関連出版物を出しておられたらしいことが知れる。戦争が終わってやれやれ、と旧称に復されたのだろうが、海外でのご活動も戦前どおりに復活したのかどうかはわからない。

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